人生を変えた質問
少し時を戻して、1972年のことです。ダイアモンドさんはニューギニアの浜辺を歩いていた時に、ヤリという名前のニューギニア人の男性と出会いました。ヤリはダイアモンドさんに、どこから来たのか、何をしているのか、なぜ鳥の研究をしているのか、などいろいろな質問をしました。そして、最後にこう質問しました。
「白人は、眼鏡、鉛筆、カメラなどのものを持つようになり、ニューギニアに飛行機でやってきた。しかし、ニューギニア人は石器しか持たず、ヨーロッパには行かなかった。それはなぜなのでしょうか?」ダイアモンドさんはその時、ヤリの質問に答えることができませんでした。
それから、ダイアモンドさんは考え続けました。なぜ、世界のある場所ではテクノロジーや文明が早くから発達し、他の場所ではそうではなかったのでしょうか。
優れている人種とそうでない人種があるわけではありません。科学がそれを否定していますし、ダイアモンドさんはニューギニアの伝統的社会の人々とずっと交流していたので、彼らが文明社会の人々と同じように頭がいいことを知っていました。
ダイアモンドさんはそれから他の研究をしながらも、ずっと調査を続けていました。そしてヤリの質問から25年後の1997年、60歳の時に、ついに一冊の本でその答えを出したのです。