4. 自然と幸福

『幸福のエコロジー』

ここまで読んできたみなさんの中には(かんきょう保護は確かに大事だけど、ちょっとめんどうだし何の得もないんじゃないか。)と思った人もいるのではないでしょうか。しかしランバンさんは、環境保護は私たち人間の欲求にかなったことだといいます。
ランバンさんは、研究者として研究を進めるいっぽうで、私たちいっぱん市民に向けた本も何冊か書いています。ランバンさんの本の最初の読者はおくさんと2人のむすめさんで、いつも本をもっとよくしていくための的確なアドバイスをくれます。

奥さんと2人の娘さんとともに

奥さんと2人の娘さんとともに

その本のひとつ「幸福のエコロジー」では、自然が人間の幸せにいかによい効果をもたらしてくれるかを科学的こんきょに基づいてしょうかいしています。例えばケガで入院したときに、窓から自然の景色が見える病室にいるほうが、そうでない病室にいるより治りが早いことがあるそうです。
私たち人間の祖先は、みんな自然の中でしゅりょう採集生活をして暮らしていました。だから私たちは祖先から遺伝子で受けいだ性質によって、自然に対して親しみを持っているという説があります。美しい自然環境を求めて出かけていくことは、私たちにとって家に帰るようなものなのだとランバンさんは言います。

環境を守るために、環境問題の深刻さや環境保護の意義をうったえることはもちろん大切です。しかし、世の中は環境問題への意識が高い人ばかりではなく、むしろそうでもない人のほうがあっとう的に多いですよね。ランバンさんは、この意識が高くない人たちに行動してもらうことこそが大事だと考えました。自然を大切にすることは損ではなく、むしろ自分たちにとっていいことなのだと知らせたかったのです。

『幸福のエコロジー』

『幸福のエコロジー』

未来に希望を持つこと

みなさんはコップに水が半分入っているのを見たとき、水が半分「しか」入っていないと思いますか? それとも、半分「も」入っていると思いますか? ランバンさんは半分「も」入っていると思うほうです。ランバンさんは生来、楽観的なのだそうです。そして子どもたちには未来に希望を持ってほしいと言います。
確かに問題は山積みですが、これまでご紹介してきたように、人間は、考え、工夫すれば解決策を生み出すことができるのです。子どもたちには、物ごとの明るい側面を見て、持続可能なだけでなく公平で幸福な社会を作ってほしいとランバンさんは願っています。

受賞者記念講演会

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エリック・ランバン教授

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