3. 両生類はなぜ減っている?

世界両生類アセスメント(GAA)

2001年、スチュアートさんはIUCNにざいせきしながら、米国ワシントンD.C.にあるコンサベーション・インターナショナル でも仕事をすることになりました。そこで、スチュアートさんが立ち上げたのが、両生類の保全のための大規模プロジェクト「世界両生類アセスメント(GAA)」です。
なぜ両生類かというと、ひとつにはスチュアートさんがもともとカエルなどの両生類が好きだったからですが、もうひとつには世界の多くの場所で、両生類が不可解な理由で減少していたからです。このなぞを解き明かすため、スチュアートさんたちは大規模調査をじっしました。世界中の550人の両生類の専門家と協力して、なんと、当時、発見されていた5743種の両生類全てについて調査しました。

両生類の危機は地球かんきょうの危機

その結果、およそ3分の1もの両生類が世界的にぜつめつの危機にひんしていることが判明しました。原因は3つあり、①生息地の消失、②病気、特にツボカビしょう、③らんかくでした。カエルのツボカビ症は、にツボカビが寄生することではっしょうし、野生環境では治ることがありません。かかるとすいじゃくしてひどくなると死んでしまう。非常にこわい病気です。
これらの原因は、いずれも人間が引き起こしたものです。病気は一見、人間とは関係ないようですが、ツボカビ症の発生源はもともとアジアと考えられています。それが世界中に広まったのは、グローバル化によってものや食料やペットが流通するようになったからだと考えられており、人間のかんは否定できません。

両生類の多くは、水辺と陸地の両方に生息し、水辺の環境と陸地の環境の両方から大きなえいきょうを受けやすいため、環境の悪化に弱いのです。両生類の危機が判明したことによって、同時に地球の環境の悪化、生物多様性の危機、そして保護活動の必要性が広く知られることになりました。

絶滅危惧種の両生類を紹介した本

絶滅種の両生類をしょうかいした本

4. これからの野生生物保全

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サイモン・スチュアート博士

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