この実験によって、生物多様性は、土地に生産性や安定性をもたらし、土壌を肥沃にすることに対し、極めて重要な役割を果たしていることがわかってきました。16種類の植物が植えられた区画では、ひとつの区画でそれぞれの種を1種類だけ育てる場合に比べ、200%も生産性が増したのです。当時の生態学の常識を覆す発見でした。
その後、ティルマンさんの実験結果が正しいかどうか確かめるために、多くの科学者たちがさまざまな生態系を対象として同様の実験を行いました。今では、生物多様性が失われると、ほぼすべての生態系の機能が損なわれることがわかっています。
生物多様性が重要なのは、生物の種ごとに特性が違うからです。種によって他よりも優れている部分と劣っている部分があります。それぞれの種が優れている部分を進化させ、それぞれの働きをすることで種は共存し、豊かな生態系が成り立っています。