指導者のかたへ

「ブループラネット賞ものがたり」は、環境学習にも広くご利用いただきたいという思いから、ひとつの「ものがたり」に対して「学習の手引き」「参考情報」そしてこの「指導者のかたへ」という、三つの「環境学習補助コンテンツ」を用意しています。
このページでは、指導者のかたがシュクデフさんのものがたりを教材として利用することを想定し、指導の助けになるような情報を掲載しています。
学校での環境学習の授業や、お子さまの自主学習などに、ぜひお役立てください。

<対象:学校の先生、保護者など、教育指導にあたるかた>

  • ものがたりの要旨
  • ものがたりに書かれている受賞者の功績について、要点をまとめています。
  • 指導方法の例
  • ディスカッションやグループワークの例題を、具体的な実施手順も含めて掲載しています。

ものがたりの要旨

銀行家としてキャリアを開始したシュクデフさんは、ある時、自然の経済的価値が実際は莫大であるにも関わらず、自然が無償であるがゆえに正しく認識されず、結果として自然が過度に破壊されてきたことに気づき、世の中のシステムを変えなければならないと思い立ちました。そして、自然の価値を市場経済に組み込む「環境会計」の実現に向けて力を尽くしてきました。

母国、インドの各州に環境会計を導入するプロジェクト「GAISP」を立ち上げ、さらに、世界的プロジェクト「生物と生物多様性の経済学(TEEB)」のリーダーとして、自然の価値を認識することの重要性、そのために、自然の価値を経済的価値に置き換えて可視化することの有効性を訴えました。

著書「企業2020の世界」では、差し迫る地球環境の悪化を止めるため、「企業」が変わる重要性を提示。環境会計を企業経営に取り入れるための活動「自然資本プロトコル」も動き始めています。

自然と人間がともに発展できる、正しく持続可能な社会を目指すことが、シュクデフさんの願いです。


指導方法の例

指導に迷われた場合は、以下を参考にしてみてください。

自分のまちの経済活動と自然について調べてみよう。

1. 地域の自然保護活動について調べます。

自分の住んでいる地域で行われている自然保護活動や、既に壊してしまって取り戻せなくなっている自然について調べてみましょう。
すぐ近くになくても、半径50km程度の範囲であれば、地域のこととして情報収集しやすいでしょう。

2. 自然保護を行っている対象と理由(既に壊してしまった対象と理由)を洗い出します。

直接的な原因だけでなく、そこに至った背景についても考えます。 例えば、干潟を埋め立ててしまったために、海水が浄化されなくなり、汚染が進んでいるということがある場合、干潟を埋め立てた理由も考えます。その地域を豊かにする目的で干潟を埋め立てて工場を誘致しようとした、といった背景情報も集めます。

※この段階からはグループワークが効果的です。
複数の自然保護活動が出てきた場合には、その活動別に5〜6人程度のグループを編成します。
また、経済発展側(自然破壊側)と自然保護側にグループを分けて掘り下げて見る方法もあります。

3. その自然が失われたために、自分たちにどのような影響があるのかを調べます。

目先の影響だけでなく、先々の影響まで考えてみましょう。

例えば、干潟を埋め立てたために海水が浄化されなくなった。

漁獲量が減少した。

漁師さんの生活が成り立たなくなり漁業が衰退した。

新鮮な魚が店頭に並ばなくなった。

観光客が減少傾向にあり、観光関連業からの税収が減少している。

といったように、どのような影響が広がっているか、様々な立場から情報を集めてみましょう。

4. 長期的に「自分たちはどうするべきか」を話し合います。

経済的に得たメリットと自然を破壊したデメリットを踏まえ、長期的にどのような対応が必要になるか話し合います。

うまく議論が進まない場合は、以下のような点をヒントとして出してみてください。
話し合いのポイントは、

・自分たちを含め、誘致した工場、その他の町の産業は、自然を使って活動してきたので、その自然がなくなると、結局自分たちの首を絞めることにつながらないか。

・自然を経済活動と同列に見て、長期的に損得を考えると、目先の経済発展にこだわることは、結局は損をすることになるのではないか。

5. 成果発表

各グループで議論した内容を模造紙などに整理して、グループごとに発表します。

<指導のポイント!>

生態系の価値を具体的に数値であぶり出すのは難しいので、学習教材としてはそこまでは求めません。
経済と自然のバランスを保つことが、長期的に見ると、自分たちの地域でも重要であることを、身をもって感じることに指導の重点を置いてください。
様々な立場の人や視点からの情報収集が必要になります。その視点を拾い出すことも、社会の多様性を学習する機会になります。

グループによっては、例えば「結局、経済的に発展して、発生した問題はお金で解決すればよいのではないか」といった結論に至る場合もあるかもしれませんが、そのまとめは否定せず、議論の過程を頭から遡ってみてください。
議論が偏った分岐点が見つかると思いますので、その点について、ヒントを与えながら、再度、議論してもらいます。