シュクデフさんは、自分の構想を専門家にも聞いてもらいたいと思いました。当時、デビッド・ピアス教授という環境経済学の第一人者がいて、シュクデフさんもこの人の著書を何冊も読んでいました。シュクデフさんはこのピアス教授に、環境会計について自分の考えをまとめた提案書を提出してみたのです。
シュクデフさんは内心、取り合ってもらえないかもしれないと思っていたのですが、教授はシュクデフさんの考えを気に入ってくれて、直接会って話をしてくれました。その後も親切に助言をくれたり、他の研究者を紹介したりもしてくれました。教授にはその生前、3回しか会えなかったのですが、シュクデフさんにとって教授は心の師です。
教授が賛同してくれたことでシュクデフさんは自信がつき、本格的にこの問題に取り組むことにしました。今に至るまでシュクデフさんが強い情熱を傾け続ける「環境会計」への取り組みの始まりです。2003年、シュクデフさんが43歳のときのことでした。