1. あたまとからだで学ぶ

カーペンターさんは、1952年アメリカ、ミズーリ州のカンザスシティで学校の先生であるお母さんと化学者のお父さんのもとに三人兄弟の長男として生まれました。カーペンターさんが育ったところは自然が身近な環境で、多くの時間を屋外で過ごしていました。夏に父方のおじいさんの農場でその土地について教わったり、農作業を手伝ったりしたことは宝物のような思い出となりました。また、母方のおじいさんは都会に住んでいましたが、りとハンティングに熱心で、カーペンターさんに多くの技術を教えてくれました。

その後大きくなったカーペンターさんは、アマースト大学に入学し生物学を学ぶことにしました。

1972年夏、大陸分水嶺付近

1972年夏、大陸ぶんすいれい付近

そして、1972年の夏、モンタナ州のグレイシャー国立公園内で初めての研究活動を行いました。これは、土地の高度と樹木の分布を調べるものでしたが、カーペンターさんはこの経験から自然について学びながら生計を立てられることを知り、科学者としての将来を考え始めるきっかけとなりました。

アマースト大学での生態系に関する講義には想像力をかきたてられました。生態系の考え方は、お父さんから学んできた科学の知識と通じ合うものだったからです。カーペンターさんは、研究に必要なシステム思考 という考え方や現実を鏡のように再現する数学モデルにりょうされました。しかし一方で、自らの自然の中での経験や、おじいさんからよくたずねられた「これはどう役に立つの?」という質問から、現実の世界で起こることからも意識をそらさずにいられました。

大学での研究は、大学院でもっと生態系について研究したいという想いを生み、カーペンターさんはウィスコンシン大学マディソン校に進むことにしました。そこでは、海洋学、陸域生態学、応用統計学の授業を受け、しょうに関する知識を広げました。そして卒業研究として、ウィングラ湖に生育する植物のリン循環における役割と、湖水域が堆積物によりじょじょまっていくことの影響について研究しました。リン循環については「3. じょうな栄養」でくわしく説明します。

この大学院での研究で、カーペンターさんは、湖沼、リン循環、そして生態系という、しょうがいにわたって研究し続けることになる3つの分野に初めてれることになりました。

その後、1979年に大学院で博士号を取得し、学生時代に知り合ったスーザンさんとけっこんしました。そしてこの年、インディアナ州のサウスベンドにあるノートルダム大学の助教になりました。

1978年ウィスコンシン州、カーペンター教授とスーザンさん

1978年ウィスコンシン州
カーペンター教授とスーザンさん

2. れんする生態系

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スティーブン・カーペンター教授

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