レジームシフトには、数百年をかけて広い地域で生じる変化と短期間で局所的に発生する変化の2種類があります。長い時間をかけてリンを含む栄養物質が沿岸生態系に堆積された後に起こる長期のレジームシフトと、湖や河川の富栄養化による短期のレジームシフトです。
長期のレジームシフトは、湖や河川の富栄養化から始まりますが、リンを含む栄養物質は海に流れ込み、やがて沿岸生態系の底へと沈み、そこで生物の増殖を促します。それによって沿岸生態系の水中に酸素がほとんどなくなり、海洋生物が絶滅するなどの大きな影響を受けます。一方、底の泥に蓄積されたリンは、酸素がなくなると溶け出す性質をもっているので、さらに富栄養化に拍車がかかってしまいます。負の連鎖というべきこのような変化が長期のレジームシフトで、ひとたび起こると現在の技術では回復することができません。