学習の手引き

スティーブン・カーペンター教授のものがたりはいかがでしたか?
ここは、みなさんがものがたりについて復習したり、理解を深めたりするためのページです。ここだけに書いてあることもありますよ!

<対象:10歳以上>


まずはクイズです!

問1:藻類が異常発生した湖をきれいにするためにカーペンターさんは何をしたでしょうか。

1. 湖の水を全部いて入れえた

2. 湖に住む大きな魚の数を減らした

3. 湖に住む大きな魚の数を増やした


問2:カーペンターさんはリンを大量に使用することが地球環境にとって問題になると警告していますが、どのような問題があるでしょうか。

1. 植物の生育をがいする

2. 川や海に流れ込み富栄養化を引き起こすことで生態系にダメージを与える

3. 使われたリンによる大気汚染がすすむ


こたえ

問1:藻類が異常発生した湖をきれいにするためにカーペンターさんは何をしたでしょうか。

こたえ:3. 湖に住む大きな魚の数を増やした

カーペンターさんは、大きな魚を増やして小さい魚を減らすと同時に、藻類を食べる小さな生物(ミジンコの一種)も増やしました。この生物は、最終的には大型魚の餌となります。その結果、増えすぎた藻類の数が減少し、湖はきれいになりました。

問2:カーペンターさんはリンを大量に使用することが地球環境にとって問題になると警告していますが、どのような問題があるでしょうか。

こたえ:2. 川や海に流れ込み富栄養化を引き起こすことで生態系にダメージを与える

陸から海へのリンの流入がプラネタリーバウンダリーで限界値とされている年間1100万トンを超えると、過剰な栄養により大量発生したせいぶつにより海中の酸素が消費され、魚などが生きていけなくなる可能性が高まります。現状すでに年間約850万から950万トンのリンが海へ流れ込んでいます。このままでは魚などの大量絶滅が起こる可能性があります。一方、リンの資源量はそれほど多くなく、もし人間がリン鉱石を採掘し、利用した後で海に流し続ければ今後100年ぐらいの間にかつするとも言われています。リンは農業用肥料として大量に使われているので、肥料としてリンが使えなくなると将来の人口増をカバーするための食糧生産ができなくなることが懸念されます。使われたリンはほとんどが海や湖に流れむので大気汚染の原因にはなりません。


ここはおさえておこう

食物網で上位の捕食者の数が変わると、直接の捕食対象でない生物の数も変動する。

富栄養化は様々な人間活動に起因する。


もっとくわしく

ここではカーペンターさんが深く関わったプラネタリーバウンダリーのなかで、リンの循環に関する部分の研究についてよりくわしく説明します。

プラネタリーバウンダリーとは、「安定した地球で人類が安全に活動できるはん」を地球の安定性を保つために最も重要な9つの指標で示したものです。これらには、気候変動や生物多様性の損失のほか、カーペンターさんが関わった窒素・リンの循環などが含まれます。

プラネタリー・バウンダリー

プラネタリー・バウンダリー

ストックホルム・レジリエンスセンターの図をもとに、旭硝子財団で制作

ここではリンの循環についてより詳しく見ていきましょう。

リンは、主にリン鉱石という鉱物から取り出される物質で、人間はこれを農業用の肥料や歯磨き粉まで様々なようで利用しています。毎年約2000万トンものリンが採掘され、そのうち約850万から950万トンが海に流れ出していると言われています。これは人間活動がない状態と比べて約8倍もの流出速度です。

湖だけでなく、海でもリンが流れ込み富栄養化が進むと生態系の崩壊など大きな問題が起こります。リンについて、プラネタリーバウンダリーでは、地球の安定性を保つためには年間1100万トン以上のリンが海に流れ込むことは許容できないとしています。現在の数字と見比べるとすでに危機的状況であることがわかりますね。

カーペンター教授によると、すでに限界を超えているリンの循環を安定的な範囲に収めるためには、リンを川などに流出させず土壌に留めることが大切です。例えば、作物をしゅうかくした後の畑に別の植物を植えることで、雨によってリンが流れ出す量を減らすことができます。また、川べりに根を深く張る植物を植えることもリンの流出を防ぐために有効です。

menu

スティーブン・カーペンター教授

English