これらの森林は、各地域にかけがえのない生態系サービスを提供するだけでなく、水力発電を支える河川の重要な水源となっています。ブータンは水力発電によって得た電力を国内で消費するだけでなく隣国のインドに輸出しており、水力発電による収入はブータンの国の収入の40%以上を占めています。
また、二酸化炭素などの温室効果ガスは地球温暖化の原因となりますが、ブータンの豊かな森林は大気から多くの二酸化炭素を吸収しています。加えて、ブータンでは経済成長のスピードよりも内容を重視し、二酸化炭素の排出量を極めて低く抑えてきました。今日、世界では二酸化炭素の排出量と吸収量を等しくし、二酸化炭素の排出を全体としてゼロにする「カーボンニュートラル」を目指していますが、ブータンは人間活動による二酸化炭素の排出量よりも森林などによる二酸化炭素量の吸収量のほうが多い「カーボンネガティブ」を達成している数少ない国のひとつであり、今後もカーボンネガティブを保ち続けることを国際社会に表明しています。