学習の手引き
ジグミ・シンゲ・ワンチュク第4代ブータン王国国王陛下のものがたりはいかがでしたか?
ここは、みなさんがものがたりについて復習したり、理解を深めたりするためのページです。ここだけに書いてあることもありますよ!
<対象:10歳以上>
まずはクイズです!
問1:ブータン第4代国王陛下が最も大切にすべきであると考えたものは何でしょう。
問2:人間活動による二酸化炭素の排出量よりも森林などによる二酸化炭素の吸収量が多い状態を何というでしょうか。
こたえ
問1:ブータン第4代国王陛下が最も大切にすべきであると考えたものは何でしょう。
こたえ:2. 国民の幸福度
GNHは国民総幸福量(GNH: Gross National Happiness)といい、国民の幸福度を示す指標です。GNHの4つの柱のひとつに環境の保護が含まれています。
国の経済力を示す主な指標としては、かつては国民総生産(GNP: Gross National Product)がよく使われました。現在では国内総生産(GDP: gross domestic product)が使われています。ジグミ・シンゲ・ワンチュク第4代ブータン王国国王陛下は「私たちにとって、国民総生産(GNP)より大切なのは、国民総幸福量(GNH)である。」とおっしゃったと言われています。GNPやGDPだけでは本当の国の豊かさは測れないとして、国民の幸福を追求するGNHは世界的に注目されています。
問2:人間活動による二酸化炭素の排出量よりも森林などによる二酸化炭素の吸収量が多い状態を何というでしょうか。
こたえ:3. カーボンネガティブ
二酸化炭素の排出量より二酸化炭素の吸収量のほうが多くなると、[二酸化炭素の排出量]-[二酸化炭素の吸収量]が負の値(ネガティブ)になることから、カーボンネガティブと言われます。カーボンネガティブを実現している国は、世界でもブータン、中米のパナマ、南米のスリナムの3カ国のみです。カーボンニュートラルとは、二酸化炭素の排出量と吸収量が釣り合っている状態を言います。排出した分と同じだけ吸収されれば実質的な排出量はゼロであることから、ネットゼロとも言われます。気候変動問題の解決に向けて世界が目指しているのが、まずカーボンニュートラルを実現することです。
ここはおさえておこう
ジグミ・シンゲ・ワンチュク第4代ブータン王国国王陛下が提唱されたブータンの国民総幸福量(GNH: Gross National Happiness)は国民の幸福度を示す指標であり、ブータンの開発活動や計画の中心におかれている。
ブータンはGNHの4つの柱のひとつである「環境の保護」に積極的に取り組んでおり、「カーボンネガティブ」を達成している数少ない国のひとつである。
もっとくわしく
ブータンの「高価値、少人数」の観光政策
ここでは、文化的景観や自然環境への悪影響を抑えるためにブータンがすすめる「高価値、少人数」の観光政策について、もっとくわしくご紹介しましょう。
ブータンでは従来、外国人観光客に対し公定料金という独特なシステムを設けていました。これは、観光客は200~290ドル(人数や時期によって変動)の公定料金を支払うもので、その中には1日65ドルの観光税の他、宿泊費、食事代、ガイド費用などが含まれていました。
ブータンにおいて観光業は重要な外貨収入源です。いっぽうで、ブータンの観光業は環境破壊をしないという原則のもとに成り立っています。観光税を設定することで、観光客の数を抑えて文化的景観や自然環境が損なわれるリスクを低くしつつ、外貨収入を得ることができます。観光税は観光客にとって大きな負担ですが、その代わりに来てくれた観光客には質の高い観光体験を提供するというのがブータンの考えです。
ブータンでは2020年のコロナ禍以降、観光客の受け入れを停止していましたが、2022年9月に再開しました。その際、観光税が65ドルから200ドルに値上げされることが発表されました。また、公定料金は廃止となり、観光客は宿泊費、食事代、ガイド費用などを観光税とは別に支払うことになりました。
開発と環境保全のバランスをとりながら変革を続けるブータンの観光政策の今後は世界から注目されています。